2009年01月19日

花田文栄堂

花田文栄堂現在、江戸東京たてもの園では、「村上精華堂」「武居三省堂」など、いくつかの商店建築が看板を修復中です。
先日、看板修復作業を担当されている駒込の「花田文栄堂」さんにお邪魔して、看板の金箔貼りの工程を見学させて頂きました。
花田さんは昭和29年に「花田金文字店」として木製金文字を主体とした看板業を創業され、現在はサイン全般に仕事を拡げられています。

前回ご紹介した書籍『看板力』には「花田文栄堂」さんが紹介されています。

切り出し文字『三省堂』既に仕上がっていた「三省堂」の看板は、戦後に生まれたという「切り出し文字」に黒漆仕上げ。戦前までは額彫りと言われる板に文字を彫り込む手法が一般的だったとのことですが、戦後切り出しが誕生したきっかけは何だったのでしょう?
単純に材が少量で済むということは、考えられますね。それに伴い看板の軽量化。
極上と言われた金箔仕上げではありませんが、黒漆の艶が何とも色っぽい。
黒漆は生漆に顔料を混ぜて調合するのだそうです。顔料とは鉄粉や水酸化鉄のことでしょうか?お尋ねし損ねました。

作業手元こちらは同じく「三省堂」の外壁二階部分に掲げられている扱い品紹介看板。「硯」という切り出し文字に金箔を押しているところです。
屋号は黒漆仕上げですが、商品名は金箔貼り。これは商品第一!とお店の心意気を表しているのでしょうか?


外部に取り付ける切り出し文字の素板は桂(北海道産)を何年も寝かして使うのだそうです。目が詰まって素直であるため、彫りやすく耐久性も良いためとのこと。その素板に黒漆を塗り重ね、金箔の下地とします。
金箔を貼る直前にさらに漆を刷毛でなでるように塗り、ウエスで拭き取り、金箔を押して行きます。漆の粘性が残る程度に拭き取り、乾き具合をにらんで押していくそのタイミングは、経験により判断できるようになるのだそうです。
文字の側面は金粉(真鍮に金色を付けた物の粉)塗装を施しています。
金箔は五毛箔、三枚掛けという純金含有量が多く、厚みのある上物の金箔を使っているのだそうです。
外部看板に貼られた金箔の耐用年数は神経質な人は5〜6年で貼り替えるが、普通は10年程度とのこと。たてもの園の看板は移築以来一度も修理していないとのことで(既に15年経過)、かなり下地に痛みが生じていたため、刻苧(こくそ)で素地調整を行ったそうです。

額彫り文字
こちらは額彫り文字看板。

cocu看板にも金箔貼ろうかな???
似合いませんね。。。ハイ




chou23 at 09:56│Comments(0)TrackBack(0)survey 

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